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Subaru Alcyone 0'33"

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アルシオーネ (ALCYONE) は、富士重工業が過去に製造していた2ドアクーペタイプの乗用車である。

1985年6月7日、富士重工業はパーソナル・スポーツクーペ「アルシオーネ」シリーズを発売した。国内発売に先立つ1985年1月に、すでにスバルXTクーペとして「デトロイト・ショー」で初披露され、富士重工業としては初の海外先行発売車種となった。

「デトロイト・ショー」デビューに際して、各国のモータージャーナリストを招いた大々的な試乗会や、ハリウッド映画へ登場させるなど、「XTクーペ」へのアメリカ市場における富士重工業の期待の大きさを窺わせた。入念な事前プロモーションの結果、アメリカ市場では、発売直後こそ非常に好調な販売で推移したが、1985年9月の「プラザ合意」以降の急激な円高のために商品力が低下。急遽、既存のEA型水平対向4気筒エンジンに2気筒を追加して、6気筒、排気量2.7Lの「XT6」(日本名:アルシオーネ2.7VX)が企画され、1987年、販売に移された(アメリカ発売は1988年度から)。

しかし、「廉価でスタイリッシュなクーペ」から「先進的な高級パーソナル・クーペ」への突然の趣旨変えが受け入れられたとは言い難く、期待されたアメリカ市場での販売を回復することは出来なかったため、コンポーネントから専用設計とした「SVX」に再起を賭ける事になった。

メカニズムでは従来の油圧多板クラッチに専用コントロール・ユニットによるパルス制御を取り入れることにより、前後駆動トルク配分を自動制御する「ACT-4」、オートマチックトランスミッションの4速化、電動モーター・アシストによるパワーステアリング「CYBRID」、ABSのライン装着など、非常に意欲的なアクティブ・セイフティに対する姿勢は、現在でも一部に高い評価がある。

1985年6月の発売時には、VRターボ(4WD)、VSターボ(FF)の2グレードで、VRターボのみ3速ATと5速マニュアルの選択が可能だった。

1986年3月にVSターボの3速ATを追加。

1987年7 月に、2.7VXを追加(「E-4AT」4速ATのみの設定)。また、VRターボはVRに、VSターボはVSに、呼称が変更され、ATが3速から4速になり、4WDのAT車のトランスファはMP-T(マルチプレート・トランスファ)からACT-4(アクティブトルクスプリット4WD)になった。

因みに、新車解説書や整備書には、3代目レオーネ(オールニューレオーネ)の2ドア版と書かれている(2.7VX以外は、3代目レオーネとの共通部品が多い)。

エクステリア
リトラクタブルヘッドライトを採用した特徴的なウェッジシェイプ(くさび形)のスタイリングで、カタログには「エアクラフトテクノロジーの血統」と国産車で初めてCD(空気抵抗係数)値=0.30の壁を突破、CD値=0.29を達成し、CD×A(空気抵抗係数×前面投影面積)=0.53、CLF(揚力係数(前))=0.10、 CLR(揚力係数(後))=0(いずれもVSターボ)という空力性能の理想の徹底追求が大きく謳われており、

* リトラクタブルヘッドライト採用の低いフロントフード
* フロント、リヤウィンドウの傾斜角を同じ28度に設定
* 複雑な三次元成形のリヤウィンドウ採用による、フラッシュサーフェス・ラップラウンド・キャビン
* ライズアップ格納機構を備えたコンシールドタイプ・シングルブレードワイパーの採用
* ボディからフローティングさせた「スペースドアミラー」
* 可動式フラップでボディ表面の凹凸を完全になくす「エアプレーンタイプドアハンドル」
* アンダーフロアのフラットボトム化
* タイヤハウスへの風の巻き込みを防止するサイドエアフラップ
* ボディ下部に流れる空気を整流してスムースに流すリヤアンダースポイラー
* 空気抵抗と揚力低減に最適なハイデッキ、ダックテール形状

などが列挙されている。自動車工学では車両の空気抵抗の低減は燃費、高速安定性など自動車の性能向上に有効であることは、1960年代後半からのレーシングカーにおけるウイング、スポイラーなどの採用による劇的な性能向上によって証明されていたが、市販乗用車でアルシオーネほど空力性能を訴求した例はなく、それがどれほどの効果があったのかはともかく、今なお、斬新なボディ・スタイリングとともに、現在もアルシオーネを特徴付けているポイントである。アルシオーネ登場以降、国産各社のカタログにも空力についての記述が見られるようになり、その影響は決して小さくなかったといえるだろう。

一方、2,465mmというホイールベースは3代目レオーネ(AA型)と全く同じで、全長×全幅×全高=4,450(4,510※2.7VX)×1,690×1,335(1,295※VSターボ)mmという寸法は、1982年登場の2代目ホンダ・プレリュードの全長×全幅×全高=4295×1690×1295mm (XX)にかなり近い。

ボディカラーはVRターボ、VSターボともにツートンカラーとし、ホワイト、レッド、ブルー、ダークグレーのそれぞれがライトグレーとの組み合わせとなっている。

1987年7月、水平対向6気筒エンジン搭載の2.7VXの登場に伴い、アルシオーネ・シリーズはマイナーチェンジ。2.7VXにはパールホワイト・マイカ、ディープレッド・マイカ単色の専用色が与えられ、開口部を拡大したフォグライト埋込の大型衝撃吸収バンパー、 14インチアルミホイールを装着。また、フロントフードのエアインテークが省略される。4気筒シリーズについては2トーンカラーを継続。ホイールの14インチ化に伴う、新デザインのホイールキャップの採用など変更は軽微に留まり、差別化が図られた。またグレード名から「ターボ」が外れ、単に「VR」「VS」と呼ばれるようになった。

インテリア
低めの着座位置に高いセンターコンソールといった、当時の「スペシャリティ・クーペ」の文法に適ったドライビングポジションに、センターコンソールから運転席前方に続く切り立った広い平面に、スイッチ、メーター類を散りばめた、壮観なインストルメントパネル、ガングリップ・タイプのシフトレバー、左右非対称のL字型スポークステアリング、一般的なコラムスイッチの機能をそれぞれボタンスイッチに分割して独立したパネルに配置した「コントロール・ウィング」の組み合わせは、当時の富士重工業の主張する個性が良くも悪くも形になったものである。

また、テレビゲームさながらのデザインが話題になった「エレクトロニック・インストルメントパネル」[2]と呼ばれる液晶式デジタル・メーターも用意された。

前期型は、簡単な減算・平均車速表示機能の付いたトリップコンピューター[3]、4スピーカーロジックコントロール機能付きAM/FMチューナーカセットコンポも標準装備とされ、当時の富士重工業のフラッグシップに相応しいフル装備を誇った。

内装色には、前期型が標準車が明るいブラウン系内装、ブルー・メタリック2トーン外装色にブルー系内装にモケット+ビニールレザーの組み合わせ。

1986年、ビニールレザー張りだったリアシートを、フロントシートと同一のモケット生地に改めた。

1987年のマイナーチェンジ以降は2.7VXのみがダークブラウンに毛足の長いディンプルモケット生地の組み合わせ、4気筒エンジン搭載の標準車にグレー内装、ブルー・メタリック2トーン外装色にブルー系内装とモケット生地の組み合わせとなった。

エンジン・ドライブトレイン
エンジンは、レオーネ1.8LGTターボと共通の水平対向4気筒OHC「EA82ターボ」(最高出力:135ps/5,600rpm、最大トルク:20.0kg-m/2800rpm(いずれもグロス値))を搭載。低くスラントしたフロントノーズのために補機類配置が見直されている(スペアタイヤは、エンジンの上でなく、後部トランク内に収納されている)。

VRターボAT車には、急加速時、急制動時、雨天時に、アクセル、ブレーキ、ワイパーと連動して、自動的にAWDに切り替わる 「AUTO-4WD」 システムが搭載されていた。これは当時パーツサプライヤーの供給するABSの作動精度が現在に比べ著しく甘く、そもそも前後のドライブトレインを連結した AWD なら、加速・制動時のホイールスピンやロックを防ぐために効果的であることから考えられたシステムで、現在のAWDの高度な駆動力制御の先鞭をつけたものといえる。、VRターボの5速マニュアル車は、副変速機「デュアルレンジ」を装備しない、当時の富士重工業のAWDラインナップの中でも最もシンプルなシステムが与えられた。VSターボは、国内向け3代目レオーネにはFF+EA82型ターボの設定がなかったため、当時の富士重工業のラインナップの中でも異色の存在だった。

1987年7月のマイナーチェンジで追加された2.7VXには、既存のEA82型エンジンに2気筒を追加した、水平対向6気筒OHC「ER27」エンジンが搭載された。ボアおよびストロークは「EA82」と共通であるが、このエンジンがアルシオーネ以外に搭載されることはなく、事実上、専用設計となっている。最高出力:150ps/5,200rpm、最大トルク:21.5kg-m/4,000rpmを発生した。

2.7VXおよびVRには、MP-Tの油圧をパルス制御することによって、前後の駆動力配分を自動的かつ連続的に変化させる 「電子制御アクティブトルクスプリット4WD(ACT-4)」を搭載。これは2WDに比べ駆動力に優れる AWD 本来の特性に、前後の駆動力を変化させることで自動車の操縦性まで変化させることを可能にした画期的な駆動力制御で、現在の 「VTD-AWD」につながる富士重工業のAWDシステムの中核に位置する技術である。また、2.7VX、VRのオートマチックトランスミッションには、それまでの3速に代わり、4速の 「E-4AT」 が与えられた。6気筒・4気筒シリーズともにトランスミッション・ギヤ比は共通である。また、このマイナーチェンジで、VRの5速マニュアルトランスミッション車は、それまでのパートタイムAWDから、レオーネRX-Ⅱ と同じバキューム・サーボ式デフロック機能を備えた、遊星歯車センターデフ付のフルタイムAWDに改められた。

2.7VX 専用の水平対向6気筒エンジン「ER27」は、1985年10月、第26回「東京モーターショー」に参考出品されたアルシオーネベースのコンセプトカー「ACX-II」で公開されている。「ACX-II」は走行可能なコンセプトカーで、走行シーンも公開されたが、この時点では、同時に参考出品されていた「レオーネ3ドアクーペ・フルタイム4WD」[5]と共通のバキューム・サーボ式のデフロックを備えた傘歯車式センターデフ・マニュアルトランスミッションとの組み合わせで、ブリスターフェンダーによって3ナンバーに拡幅された全幅やショーカーらしい数々のギミックは明らかに商品化を前提にしたものではなかった。

しかし、1985年9月の「プラザ合意」以降の急激な円高は、それまで廉価を売り物にアメリカ市場でのシェアを拡大してきた日本車に、軒並みアメリカへの工場進出によるアメリカ社会との共存と付加価値の高い高級化への路線転換を迫った。

当時、レオーネとアルシオーネ、収益率の悪いジャスティしか持ち駒のなかった富士重工業にとって、主要マーケット・アメリカでの深刻な販売不振の打開策として急遽「ER27」エンジンの市場投入は決定した。しかし、商品化に2年もの時間を必要とした上、レオーネの狭いエンジンルームには搭載することは不可能[6]で、この後、1980年代後半にかけての富士重工業の混迷振りを象徴するような商品化となったのは皮肉な話である。

シャシー・サスペンション
シャシー・サスペンションともに、基本的にはレオーネ1.8LGTターボと共通だが、2.7VX、VRターボがE-PS(エレクトロ・ニューマティック・サスペンション)と呼ばれる、オートセルフ・レベリングつきエアサスペンションを装備するのに対し、VSターボはコイルスプリング・サスペンションとなる。E-PSはハイトコントロール(車高調整)機構付きで、標準車高の165mmとハイ車高195mmの2段階で任意の車高を選択可能で、ハイ車高で 80km/hに達すると自動的にノーマル車高へ復帰、さらに50km/h以下になると自動的にハイ車高に戻る機能を備えていた。

また、2.7VXには富士重工業としては初となる、4センサー対角セレクトロー[7]方式を採用した、当時としては非常に高度なABS制御と、AWDの前後駆動トルク配分制御「ACT-4」、さらに電動パワーステアリング「CYBRID」との統合制御を行うという、積極的なアクティブ・セイフティ(能動安全性)の一歩進んだ形を提案。このシステムは各方面から絶賛を浴び、その後の世界の自動車メーカーのアクティブ・セイフティの考え方に与えた影響は極めて大きい。

トピック
* アメリカなどでは「XTクーペ」という名前で主に女性ユーザーに人気となった。同車の女性ユーザー比率は64.3%と、コンパクトでスタイリッシュなところが女性を引き付けたらしい。

* 新宿のスバルプラザで展示されていたVXは車高を低く見せる為に「重し」を乗せていた事はスバリストの間で有名な話である。

* 当時の富士重工では社用車としてレオーネを使っていたが、他人と同じ自動車に乗ることを嫌った当時の社長は、アルシオーネを社長用の社用車として使った。2ドア車であるため、社長は助手席に乗る事になった。

* 1985年発売から6年間での輸出分を含めた総生産台数は9万8918台だった。

* アルシオーネは国内デビュー直後の1985年8月、オーストラリアで行われた「ウインズ・サファリ・ラリー」に、当時、富士重工業社員でS.M.S.G(スバル・モーター・スポーツ・グループ)の監督兼エースドライバーだった高岡祥郎(コ・ドライバー:B.レイク)が出場。オーストラリア大陸を縦断する総走行距離5,690kmの過酷なこのマラソンラリーで、2日目にエンジントラブルで惜しくもリタイヤとなったが、アルシオーネ唯一の国際ラリー出場車両として現在でも人気が高い。

名前の由来
すばる(プレアデス星団)の中でおうし座の名前 「アルキオネ」(Alcyone)にちなんでおり(スバルのマークで言えば六連星のうちの一番大きい星)、スバルのフラグシップであることを表している。


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[ 2009/06/04 11:38 ] SUBARU | TB(0) | CM(0)
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